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ネグレクト。

半裸のデブが目の前に立っていた。それ以上でも以下でも無く、またそれ以上の説明も必要ないほど唐突に立っていた。短パンのみという出で立ちで、皮下脂肪を主張する存在が屹立していた。思い出したくも無かったが、自分の消えない記憶を検索すれば、つい一ヶ月前にも似たような経験をしたばかりであり、以前と違うことといえば、ここは共用廊下などではなく、人の往来が止むことの無いビジネス街の一画であることだった。

記憶したくもないカロリー過多な肉が脳内に刻まれるのを感じながら、またしても現れた変質者への対処方法を考える。コンマ数秒で出てきた答えは「気にしない」だった。この場所は会社の目の前であり、僕はそこで休憩しているだけの存在にすぎない。賛成1、反対0。目を向けるな。さぁ記憶すら締め出せ自分。

「ふひぃ~。」

変な声を出された。たまらず目をむけるとモゾモゾと動いている。どういう意図かは分からないが、天下の往来で身体中をボディシートで拭いてるらしい。色んな意味で褒められた行動では無いというか、僕のフィルターでは完全にアウト。万が一通報しても彼以外から非難の声が出てこない事を信じたい。

「ん~。」

一向に終わる気配も立ち去る気配もない。漏れなく身体を拭くらしい。このままではコレを見ている僕すら変質者だ。とりあえず面倒な事になる前に立ち去らねば。渋い顔をしたまま「ヤだなー」と小さく呟き、その場から立ち上がる。

でもそれ以上身体を拭くことは無かった。終わったのだ。結局最後まで見てしまったという事実がやりきれない。隣に止まってたトラックの扉を開け、服を取り出して着ようとしているのを見て「なら全部中でしろよ」とまた小さく毒づき、その場を後にした。

「なんか疲れた…。」

エレベーターでようやく声をだす。全く休めてないと気付いた。